銘茶師「林震源氏」に会いに!

(2001.12.福建省・厦門 電脳茶師)


◆ 〜プロローグ〜  こうして旅は始まった

アモイ(中国福建省の港都市)に今回出張に出かけることになったのは、ある雑誌の中国茶特集との出会いがきっかけです。
その雑誌というのはダイナースクラブ発行の「SIGNATURE」の2000年11月号。安渓(福建省南部の茶産地)の指折りの茶師ってことで、「林振源」という茶師について7ページにわたり紹介されていました。

「安渓の『指折りの茶師』か〜。う〜ん、かっこい〜な〜。会って話がして〜!」
そんなささいな思いがきっかけ。
福建の友人に色々問い合わせてみると、林さんの息子の「林玉輝」という方がアモイで直営のお茶店を運営しているという。しかしお店の名前しか解らない・・。

「とりあえず、行っとけ!」って、いつもの軽いノリでアモイ行きが決定!

電話番号も住所もわからない、知っている情報はそのお店の名前のみ。いつもどうりのアポなし、情報なし、考えなし・・・!

こうして「色々考えるのも面倒くさい、行ってみてから考えんべ!?」っていう思いつきの旅、いやいや、重要な出張が始まったわけです。

「ってゆうか、お茶屋の名前だけで解るわけないじゃん!」って、ツッコミがはいるのに30分と時間はかかりませんでした。
わかっちゃいたけど、福建省第一の貿易港、アモイにはお茶屋がいっぱいあったのです( ̄○ ̄;) !
う〜ん・・・・。 そうは言っても、来ちゃったんだからしょうがない。トランク抱えて探し回るしかないのである!


◆ ここでちょっとアモイについて紹介いたしましょう

アモイは福建省随一の貿易港。町並みは「あらまぁ、ここホント中国かいなぁ(@@)/」と思わせるほど色々な文化がミックスされています。経済特区として繁栄する高層ビル、欧州を思わせるコロンス島の町並み、大通りには南国の植物が整然と並んでいます。古い町並みと近代的な建物が共存した活気に満ち溢れる街。

「アモイ良いとこ、一度はおいで〜♪」とはいうものの、たくさんの荷物を抱えて探すのはしんどい〜。いつもパソコンばっかで仕事しているツケがまわってきたようです。
「え〜ん、トランク重いよ〜(T0T)」

疲れたときはそこらへんのお茶屋で休憩。本場のウマイ中国茶を飲ましてくれるからね!
いやはやお茶とは不思議なものである〜♪一口飲んだだけで疲れも吹っ飛ぶんだから(^0^)v
久しぶりの中国で会話も弾む。お姉さんに手がかりの雑誌を見せながら話します。
「今回の旅は林さんという茶師を探しにね・・・」


「え?ちょっと待って!お姉さん、林さんのお店知ってんの?」

情報とはいつも思いがけないところから舞い込むものです。もしかして林さんて相当有名人!?
「お茶のことは、お茶屋に聞け!」とはおばあちゃんの遺言である。

ってなわけで、無茶苦茶な話ですが林さんのお店まで来れちゃいました。手がかりは雑誌の写真とその店の名前のみ、はっきり言って奇跡です!

「人生楽勝(^^)v 渡る世間は甘かった(^0^)」って思っちゃう人には、結構道が開けるようです!?


そう、彼が安渓の銘茶師「林震源」氏の甥の「林玉輝」さん
果たして林さんの反応や如何に?いかにも「日本から変な奴が来た」っていう顔をしているけど・・・。

しかし・・・、一時間と経たない内に、お茶に対する熱い気持ちで意気投合!!
お茶好きに悪い人間はいないですよ。

そして林さんが食事に誘ってくれた!
中国旅行の楽しみとはイコールご飯を食べること♪日本で食べる中華よりもずっとおいしいものが食べられて、1000円で余裕でお釣りが来るのだから、中国出張は止められないっ。食券の乱用、いやいや職権の乱用!

とにかくアモイは港町だから、海鮮料理は最高だべ〜(^ー^)
左上のような水槽で好きな食材を選び、調理方法をお願いすると作ってくれるシステム。日本だと贅沢なシステムだけれど、アモイでは当たりまえのスタイルです!


食べる、飲む、話す。飲む、食べる、笑う。
昼間の苦労を取り戻すかのように僕の口はとどまることを知らない。パクパクパク、もう食べれないと思ったころにまた新しい料理が運ばれてくる。
「もうごちそうさまだ〜っ」て頭の中では思っているものの、勝手に手が動くのが怖い!

そんな中で林さんは、安渓でも指折りの茶農家である林家のお茶に対する熱い思いを語ってくれました。500年前に安渓に移住してきてたこと。自分のこだわりのお茶を作りたかったために、国営茶工場を辞めたこと。近隣の茶農家にも指導をし、台湾に負けない鉄観音を作りたいということ。21世紀は絶対お茶の時代になるだろうということ。是非日本のみんなにも林家の中国茶を飲んでいただきたいということ・・・。

思えば今日は、クリスマスイブの12月24日でした。突然の訪問なのに、食事にまで招待してくれ、色々な事を話してくれた、さらには「あなたに会えたことは最高のクリスマスプレゼントだ」と言ってくれた林さん!
そんな林さんの優しさには言葉も出ませんでした・・・。


食事が済んだら、早速お茶です!
これだけ油っぽい中華を食べても、中国茶を飲んだらスッキリするのです。中国の方はこの考え方が自然に身についてしまっているようですね。

この日試飲したお茶の種類は20種類以上!
『安渓の指折りの茶師』という雑誌の言葉に惹かれてアモイまで来てしまったのですが、ホント来た甲斐があったというもの!どれを飲んでもそれぞれ個性があって美味い★
蘭の花のような香りと、さわやかな苦味の奥から浮かび上がる、トロンとした甘味が舌の奥に住み続ける・・・。
この日、何度夢心地に誘われたことでしょうか?


こうして中国茶王国「彩香」は鉄観音やジャスミン茶をはじめ、林さんの工場から直接お茶を仕入れることができるようになったのです!!

春には、林さんが安渓の製茶の様子を案内してくれるそうです。
お友達になれた林玉輝さんの叔父、今度は、安渓指折りの茶師「林震源」氏にも会うことができそうだ!

春は出張が多くなりそうな気配です(^^;)





珍夜特急  〜彩香の買い付け日記〜
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