鳳凰単叢を求め、汕頭(スワトウ)へ

(2001.8.広東省・汕頭 ラオバン)


8年ぶりに、広東省の汕頭(スワトウ)空港に降り立った。
それまでは度々香港から出張で来ていたので、懐かしさが込み上げて来て、ふっと見知らぬ人に話し掛けそうになって、ふっと我に返ります・・・。
広東省(カントンショウ)北部随一の経済力を誇る大都市で、世界に冠たる潮州華僑のふるさとでもあるこの町は、いつ来ても熱気に溢れ、変化の激しい町なのです。








食は広州にありと言われ、中華料理の中で最も人気が有るのが広東料理なのですが、その中でも一番美味なのが、実は潮州料理。
香港人が最高級のゲストを招待する時は、必ず潮州レストランを選ぶのです。

獲れたての海鮮を薄味で仕上げるこの料理は、初めて食べた人をたちまち魅了してしまうこと請け合いです。

潮州レストランの円卓に付いて注文が終わるとすぐ、ウエイターが陶磁器の茶盤に溢れんばかりの烏龍茶を入れた小さな茶杯を持って来ます。

ちょっと濃い目の一杯をぐいと飲んで、料理コースの始まりです。そして、腹いっぱい美味しい物をつめこんだ後にお勘定を告げると、ウエーターがデザートと共にまた烏龍茶セットをサービスしてくれて、料理の締めくくりとなります。

潮州料理は烏龍茶で始まり、烏龍茶で終わるようだ!

このアツアツの烏龍茶をすする時、いわゆる口福(こうふく)を感じます。
広東の人々は日常的に烏龍茶と慣れ親しんでいて、工夫茶(くふうちゃ)と言われるものも、台湾茶芸に代表されるような儀式めいたものも、元々なかったようです。




市内のお茶屋さんに立寄って一杯お茶をご馳走になる時、店番のお姉さんは、蓋碗を急須代わりにして茶葉をほうり込み、熱湯を流し込む。そして、これを茶杯にかけて茶杯を温めて、2煎目を茶海に入れた後、茶海から小さな3つの茶杯にお茶を注ぐという流れでした。
茶海に入れる理由はお茶を均等に入れるためということで、ごく自然な工夫茶の作法だったのです。

ここ汕頭人には自前の茶産地があり、なにを隠そうそれは中国大陸、三大烏龍茶の産地(武夷山、安渓、鳳凰山)の1つ、鳳凰山茶産地区であって、鳳凰単叢の名で日本の愛好家には知られています。

当地屈指のホテル「汕頭国際大酒店」にお茶を納めている茶店、「茗源茶葉公司」の李永坤社長から話を聞いた。

潮州鳳凰鎮、烏棟山地区は1200〜1300mの高地にあり、遠く宋の時代に植えられたという300株の単叢の古株が現存しており、以来1000年の間改良が加えられて、蜜蘭香(みつらんこう)、黄枝香(こうしこう)、芝蘭香(しばらんこう)、玉桂香、桃仁香、通天香等々の名前が付けられ、それぞれが独得の風味を保ちながら好みに応じて購入されていると言うことだ。


今回は日本の嗜好に合いそうな蜜蘭香をテスト購入する事にした。蜜蘭香は他の単叢より比較的香りが強く、味も濃いので、初めての販売に適しているだろうと思ったからです。

単叢は日本では烏龍茶の中では新顔と見られているのですが、独得の香りと味が多くのファンを創り出すこと間違いないと確信しています。この旅の中でもいろいろな単叢を味わい、その層の厚さに驚かされた次第です。

この先おいおい他の単叢についてもご紹介していくつもりです。




珍夜特急  〜彩香の買い付け日記〜
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