いざ、蔡先生の工房へ

(2001.12.台湾・鶯歌 電脳茶師)


◆ 一目ぼれ編

蔡先生の茶器に始めて出会ったのは、2年前の台湾の台北の街!当時から、「彩香」のイメージにピッタリ合う茶器を探していましたが、いまいちコレというものが見つからなかったのです。

某有名ホテルの地下の茶器のお店で、何とはなしに見て回っていた時、ふと、お店の方が紹介してくれた桃のセット・・・。
衝撃でした!ガッツンと脳に響いた!!ビビッと来た!

アマ 「これだ!!僕が扱いたい茶器はコレだ!!」
見っけ!見っけ!見っけ!見っけ!o(^-^o)o(^-^)o(o^-^)o !心の中で何度もシャウトしました。

値札が付いていなかったので、早速店員の方に値段を確認!

店員さん「その茶器はウチでも一番高いもので、80000台湾ドルですよ」
(※台湾ドルは円の約4分の1 2002年1月現在)

アマ「・・・ということは、日本円で3万2千円かー。なるほどいい値段だ!」
店員さん「違いますよ32万円です!有名な作家のものですから」
アマ「ヴュェ?高けーーーー!」( ̄▽ ̄;)

その時は僕はあきらめました。そんな高い茶器でお茶は飲めんよ…(ーー;)
しかし私は台湾に行くたびに、必ずといっていいほど、このお店をのぞきました。見にいかないと気が済まないのです。
「フっーーー」とため息が出て、思いは募るばかり・・・。
「これは紛れも無く、恋だーーー!LOVE IS miracle!」

そして日本に帰ってこの茶器の事を色々と調べ、この茶器について少しずつ分かってきました。この作品は蔡先生という、台湾でもナンバーワンの有名な作家ということ、粉彩(ふんさい)というとっても高度な焼き方で仕上げているので、製作には1ヶ月近くかかること。

そして僕は気づきました。
そうだ。作家さんに直接買い付けにいけば、もっと安く手に入るのでは!?
僕ってもしかして天才??σ(^▽^)



◆ プロポーズ編

そんなこんなで、今回は長年の思いを込めて蔡先生の工房へ出張です。無理を行って、仲良くさせていただいている台北の茶問屋の方に紹介状を作っていただきました。
今回はナント!アポありですよ(^0^)v

問屋さん 「蔡先生はとてもいい方ですが、色々な権利があるので、仕入れは難しいかも?あっ、もし良かったらうちから仕入れる??」
アマく 「おいおい、それじゃ意味ないっすよ!!(▼_▼メ)」

でも、メチャメチャ緊張しているんです!だって、なんか作家さんっていうと頑固で気難しいっていうイメージありませんか?、私の偏見かもしれないのですが…。
ボクの愛する茶器が…。結婚の承諾をお願いに行く為にお嫁さんのお父様に会いに行くってこんな心境なのかしら(ーー;)

蔡先生の工房はMRTという台北の地下鉄で行きます。このMRTは去年の台風で数ヶ月も運転ストップしていたのですが、復旧していて良かったです!
それでは、MRTで小一時間かけていきましょう!


さあ、蔡先生の工房へ無事に到着いたしました!!
でも、この日は台北の雑誌の取材、某国の大使婦人…等等と、メチャメチャ訪問者が多く、私はずっと圧倒されまくっておりました。

蔡先生は以前雑誌の写真で知っていて、僕の前を忙しそうに何度か通り過ぎていくのですが…。声がかけられず・・・。

僕はもう緊張してしまって…。
もう一人の自分が話しかけてきます。
「何やっている!オレバカ!死ね!台湾まで来てビビッテどうする!!勇気を出して話しかけろ!!」

だけど、僕はビクビクしているだけで、結局話し掛けるタイミングを逃してしまった…(T_T)

蔡先生がトイレに席を立った〜〜!
僕は見逃さなかった…  THIS IS ラストチャンス!

早速、蔡先生を追いかけてトイレへ!私がトイレ前でニヤニヤしていたら、いきなりブラックな反応!トイレだから当たり前か(^_^;)

そして心臓バクバクで名刺交換を・・・。すると蔡先生は、
「なんだ、取材のクルーの人じゃなかったんだ。じゃ〜これからゆっくりとお話しましょう♪」
とおっしゃってくれました・・・。私を雑誌の取材の人と間違えてたんですって!
.な〜んだ。だから挨拶してくれなかったんだ。

その後はゆっくりとお時間をいただき、商談させていただきました。

台湾の茶器の流れや歴史、中国の宜興や景徳鎮、日本の器、色々な茶器の話などで盛り上がりました!

その後、蔡先生のお嬢さんが僕の母校、上智大学で勉強していたこと、同じくらいの学年で共通の教授を知っていたことなどで、会話はメチャメチャ弾んだんです!

作家は頑固?これ、うそです!蔡先生メチャメチャいい人です!!

今どのホテルに泊まっているの?とか、台湾に来たら、●●温泉に行きなさいとか色々な事を教えてくれる…メチャメチャ思いやりのある人でした♪

普通有名になってしまうと、鼻高々になってしまうのでしょうが、蔡先生は感謝の心を決して忘れない…。
もしかすると、そんなところに彼の作品の飛躍の原動力があるのかもしれないですね!

そして、お願いの時!!

アマ「蔡先生、お願いです。蔡先生の素晴らしい茶器を日本のみんなにで紹介したいんです!僕が初めて蔡先生の茶器を見た時、鳥肌が立ってしまったような感覚を、当店のお客さまにも味わってほしいと思うんです!」

まるで厳格なお父様にお嫁さん(茶器?)をもらいに行く時の心境!!!

蔡先生「解かりました。アマノさんの熱意にはおどろきましたよ!若いのによく勉強していますね」

アマ「それじゃ、お取り引きしていただけるのですか!? マジ?アッーーーー!ヤッタ、ヤッター!!」

感動の嵐、嵐、嵐!
茶器の神さまありがとう(T_T)

 



蔡先生の工房 暁芳窯について

1980台湾省手工業研究所「製品品評会」にて最優勝を獲得
1984ドイツの展覧会に招待され、ヨーロッパの芸術界、経済界に驚くべき中華陶磁器ブームを巻き起す
1994日本の画廊などから展示依頼を数多く受け、日本の各界から愛される
2000故宮博物館の依頼により様々な展覧会や製作に関わる

台北故宮博物館、歴史博物館をはじめ、ブッシュ元アメリカ大統領、サッチャー元イギリス首相、オランダ女王、リークワンユー元シンガポール首相をはじめ、国内外に多くの方が暁芳窯のコレクターとなっています。



珍夜特急  〜彩香の買い付け日記〜
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