茶器買い付け

(2001.7.江西省・景徳鎮 ラオバン)



7月27日上海浦東国際空港8時のフライトで景徳鎮(けいとくちん)に向かう。

景徳鎮は私も初めての訪問なのだが、世界中で最も知られた陶磁器の町だからと胸が高鳴った。


空港は中国の地方都市によくある、辺りに何もない草深い滑走路とターミナルがぽつんとあるだけの、熱烈歓迎も何もない空港だ。乗客がいつのまにか居なくなって一人ぼっちになった。

さてタクシーはと空港広場を見渡せば、2、3台のほこりまみれの車があり、運ちゃんが「乗らねえかい!」と声を掛けてきたので、汚れの少ない一台を選んで乗り込んだ。

訪問先の公司(会社)は、3月の上海華東交易会(総合国際商談会)で目星を付けていた4社を続けて廻ることにした。


まずB社

国営工場が倒産してリストラ社員が貿易公司と組んで立ち上げたベンチャー企業。
ちゃっかりと元の工場の一部を拝借して、「磁器なら何でもやります!」スタイルで、散らかり放題の事務所で「これはどうだ、あれはどうだ!」と色々見本を見せてはウンチクを披露してくれた。

しかしどう見ても商品に魅力を感じないので早々に退散することにした。


次はU社

従業員3000人のかちかちの国営工場、マネージャーから工場の生い立ちやら品質の管理やら、全国からバイヤーが毎日やってくる話をまくしたててくれた。

1品の最低注文数量は5,000個と言う話が途中で出てきたが、例によって顔色も変えずにふんふんとうなずいて情報の収集に努めた。
「国営工場ここにあり!」と彼は力んで見せたが、実は景徳鎮の大半の国営工場は国策により閉鎖に追い込まれているのだ。閉鎖された工場は個人の起業家に分割され、リストラ工員の吸収が行われている。構造改革では日本よりお先にダイナミックに進んでいる感じだ。

この工場もいつかは私営工場に変わるんだろうなあと思いつつ辞した。


3社目はK社

さて予定通りの買い付けが出来るのだろうかとそろそろあせりの色が・・・。
3社目は景徳鎮NO.1の工場K社。サンプル室の豪華絢爛ぶりはおもわず目をこすらせた。百貨店の宝石売り場かと思わせる展示と照明、商品グレードの高さ、商談での値段の高いこと。
「こんな商品どこに売るの?」と怪訝な顔をして聞くと、「ヨーロッパだ!」と言われて、「ウチじゃないんだなぁ」とすごすごと玄関をあとにした。


あと1社、気が重い・・・。(続く)



珍夜特急  〜彩香の買い付け日記〜
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