安渓への道のり

(2002.8.福建・安渓 電脳茶師)


林震源(りんしんげん)茶師は、福建省安渓の品評会で、「茶王」を獲得した茶師です。安渓には茶業に従事する人が100万人を超えると言われておりますので、茶王はその頂点という事になります。

林家は代々茶作りをしております。以前は国営工場の技師として腕を振るっていましたが、今は自分達の納得できる茶作りに専念しています。
その家系の中で、林震源は林家7代目の茶師となるそうです。安渓では近在の茶農家に技術指導をし、安渓全体の茶産業の発展に寄与し、多くの茶農家から信頼を寄せられています。

また、賽王(サイワン)コンテストでの金賞をはじめ、多くの賞を手にしています。近年では、2002年度より始まった安渓全体の技能コンクールである「製茶能手」で、林茶師の息子さんが第2位を獲得しています。

彩香では、安渓鉄観音や清香鉄観音、蘭桂花などの銘茶を仕入れており、たくさんのお客様から好評を頂いております。





今回は大手の企画会社さんから、林茶師をメインに使った企画を打ちたいという依頼があり、その具体的な打ち合わせの為に、安渓の林茶師を訪問する事になりました。

広州から飛行機で約1時間ほどのアモイから、サプライヤーと林茶師の甥っ子(シャオリン)と共に安渓へ向かいます。
窓の外は、これぞ中国の田舎街といった感じで、和やか〜。川のせせらぎも美しく、今年は夏休みが無かったけど、これは実はいい夏休みの旅行なのかも?と思ってしまうほどでした。

さて、高速を走る車の窓から、茶の樹が見えてきました。

アマ「林さん、鉄観音が見えてきたね」
小林「天野さん、アレは烏龍茶だよ。鉄観音はもっと安渓の内部の標高の高い所で撮れるんだ」
「ほら、あれが西坪の街さ。鉄観音が初めて採れたのはこの西坪、今でもおいしい鉄観音はこの西坪で採れるって言われている!」
アマ「西坪の街は茶畑に囲まれているんだね(~▽~@)」
小林「この西坪で茶業に従事している人は7〜9万人、安渓全体では、100万人を超えるって言われているよ。ここ安渓では、人口の9割が茶業に従事しているんだ」
アマ「へぇ〜、それじゃ福健省南部、岩茶のふるさとの武夷山(ぶいざん)や、鳳凰山(鳳凰単叢)の数十倍の規模なんだね」
小林「岩茶や単叢なんかは、茶の産地が区切られているから、今後生産量が増加する事はないと思う」
アマ「それに比べ、安渓や台湾の烏龍茶は新しく山を切り開いていけば、どんどん茶の生産量を増やしていく事ができるんだね」




小林「ほら、アノ山見える?あれ何の山か解かる?」
アマ「さぁ〜、何の山だろう?」
小林「ホラ、この双眼鏡で見てごらん」

おっ、林さんありがとう(~▽~@)
アマノッチ、双眼鏡で山を見る!!

アマ「おっーーー、もしかして全部茶畑!?」
小林「そうなんだ。安渓は山全体が茶畑なんだよ」
アマ「・・・想像を絶するね」
小林「あんなたくさんの茶葉の中でも、天野さんところへ届けている茶葉は全部、頂の方で作っているモノなんだよ!」
アマ「標高が高い方が、昼と夜の温度差が激しかったり、霧が立ちやすくかったりと、良質なお茶が採れるんだよね!」
小林「おっ、よく知っているじゃない!さすが電脳茶師!」
アマ「な、なんで僕のあだ名知っているの!?」
小林「インターネットのお店なら、中国からでもアクセスできるから・・・。中国のサイトでも天野さんとこ紹介しているところ多くて、人気だよ」
アマ「マジッすか!あーー・・・・変な事書くんじゃなかった(T_T)」




小林「天野さん、あれが国営の安渓の茶葉工場!」
アマ「へぇ〜、アノ有名な・・・。確か昔のサントリーのCMで、何百人もの白衣を着た女工さんたちが茶葉の選別をしていたの、あそこだよね?」
小林「昔は全ての鉄観音をここで作っていたんだよ。うちの先祖も昔はここで働いていたんだ。今は思い通りにやっているけどね。国営工場は今でもお茶を作っているけれど、味や香りは良いとは言えないね」
アマ「なるほど、中国は共産主義だから色々あるんだろうねー」

「あっ、あっちでは茶葉を日光に当てているね!(@、@)ノ
あれ、日光萎凋(にっこういちょう)っていうんだよね」
小林「そうそう。日光にあてて、茶葉の発酵を促すんだ。茶摘のピークになったら、そこらじゅうが茶葉の絨毯さ!」
アマ「そうだ、もうそろそろ秋茶だよね!鉄観音は秋茶が有名でしょ?」
小林「そう、今作っているのも秋茶だ!でも一番いい時期は、あと一ヶ月後の9月くらいだよ」
アマ「よし、9月になったら、彩香でも『鉄観音秋茶企画』しようっと!」
小林「それじゃ〜天野さん、一気にうちの畑まで登っちゃおう。のんびりしてたら、茶摘が終わってしまうよ」
アマ「ほーーい(^▽^*)丿」



珍夜特急  〜彩香の買い付け日記〜
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