電脳茶師 品評会で3位

(2003.10.台湾 電脳茶師)


今回3位を獲得した観音王(かんのんおう)は、僕と安渓の林震源(りんしんげん)茶師で、一緒に開発した観音王なんです!

どういうことかと申しますと、「こうこう、こういう観音王を作ってほしい!」と僕の理想の観音王を林茶師に伝えて、それを実現してしてくれたということなんです!

もっと具体的に説明すると、彩香では商品をご購入いただいたお客様に、味についてお伺いのメールを差し上げております。そこでその感想を元に、今回、彩香としての理想の観音王をお伝えしたわけです!ですから、僕の理想の観音王と言うよりも、むしろ、彩香のお客様の理想の観音王と言った方が正しいかもしれません。
そして林茶師も、「いっちょ、日本のみなさんが好むような鉄観音を作ってみようか?」という事で、彩香好みの鉄観音を作ってくれたわけなんですっ!!

林茶師にはもう、たくさん、たっくさん、お願いをしてしまいました。まさに、究極の彩香観音王です!

私が林さんにお願いしたのは、今までの鉄観音よりもかなり醗酵を浅く仕上げてもらって、ほとんど焙煎は無しということ。しかし、醗酵少なめ、焙煎無しで、鉄観音最大の魅力である、あの「濃厚なコク」がなくなってしまっては、元も子もありません。
鉄観音の最大の魅力である、音韻(オンイン)と言われるあのコクも、最大限に生かして欲しいと注文をしました。そしてさらに、最後は濃密な後味が喉の奥に残るようにと、まあ無茶なお願いばかり・・・。

しかし林茶師もノリノリでこうおっしゃいました。
「よし、最高のものを作ろう!天野さんと彩香のお客様の想いを形にしよう!林家の茶畑の中でも、最高の茶の樹を使わせて作ってみるよ!3年前、安渓で茶王を獲得した時の区画だよ。その区画の中でも、最近摘めるようになった最も若い茶の樹の茶葉を使おう。醗酵の弱い鉄観音は若い茶葉の方が清々しくて、甘い香りが出せるからからね!」




そして出来上がった観音王の試作品を、品評会の前にいただいて、私は、ただただ感動に浸りました。
私が理想としていた観音王・・・、いや、それ以上にの観音王がそこにはありました。林さんにお願いする時に、私の言葉では伝え切れなかった私の思いが形になっていたんですっ!

鉄観音の音韻というコクが出て、それがそのまま溶けていって、花の蜜をギュッと濃縮した蜜のような香りが口の中に残ります。

実は、今までお茶の販売者として色々な茶師を見てきましたが、正直スッゴクうらやましいと思っていたんです!
だから、こうして自分の理想とするお茶を形に出来た事が、すごくうれしいんです!

林さんにそれを伝えると、
「このお茶は天野さんのお茶ですよ!私は、アナタと、アナタのお客様の考えを形にしただけですから・・・」
とおっしゃっておりました。

そして林さんは、このお茶で国際茶賽(こくさいちゃおうさい)という福健省最大級の品評会に挑戦したいとおっしゃりました。
林茶師は試行錯誤の末に出来上がったお茶を、「これは天野さんと彩香さんのお茶だから!」と、『 林震源の観音王 』としてではなく、『 シーアンドエー株式会社・天野真佐志の観音王 』として、品評会に出品してくださいました!

今回の品評会の主催者は「福健省国際茶文化説組委員会」と、「両岸茶葉展示合作交易委員会(注:中国大陸と台湾は両岸と言われます)」と 「中国国際星級茶王賽評価委員会」です。
本選への出場権は、県の品評会の6位以上、もしくは昨年度の3位以上で本選に出場できます。
林さんと僕の思いのこもった観音王は予選を突破し、100種類出品された本選で、見事に第3位を獲得いたしました!
このコンテストで入賞するには技術やアイデアも大切ですが、運も必要だそうです。

今回3位に入賞した茶葉60kg中の55kgが、国家の役人に渡ったそうです。
「残りの5kgはどうする?」と林さんから連絡をいただきましたので、僕はその中の2kg分を彩香に分けて貰いました。




今回の「国際茶王賽」は、中国でも最高レベルの品評会です。見事1位になったお茶は、オークションで100g16万人民元(日本円で約230万円)で落札されたとマスコミ報道されました。

今回3位受賞のこの茶葉も、オークションに出せば林さんはかなり儲けることができたでしょう。
しかし彼はあくまで、「このお茶は天野さんのお茶だから。。。」と、儲けなんてほとんど無い価格で、オークション前に譲ってくれました。私は涙がこぼれました。

今から4年前、中国語もわからず(←今も解らないよ〜)、ダイナースクラブ発行の「SIGNATURE」の2000年11月号を頼りに、「安渓の有数の茶師」ということで特集されていた林震源茶師に会いに行きました。超アポなしです!

その時の出会いから4年経ち、こうして友情を育めたことに目頭が熱くなります。国や文化は違えども、お茶で熱くなりたい!という思いでは一緒なんですよね!
そして、私も今回ほとんど利益なしの価格で皆様にご紹介いたします。
このお茶のアイデアは、お客様とのメールでのやりとりの上に生まれたものであり、彩香のお客様みんなの観音王だと思うからです。

林さんが、「自分は天野さんのアイデアを形にしただけ・・・」 とおっしゃったのと同じように、「今回のお茶はみなさまから頂いたアイデアを形にした」のです。ですから、お安くご提供させていただきたいと考えております。




珍夜特急  〜彩香の買い付け日記〜
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