上海で再見

(2004.1.中国・上海 電脳茶師)



上海のお茶名人、汪さん!

その昔、都内の某老舗の茶芸館で、中国茶仲間に祁門(キーマン)紅茶を勧められ、そのおいしさに「なんというキーマンか!?」と驚いた事があります。

「これはキーマンの礼茶と言ってね、特別な人脈を通したレアモノだから、そう簡単には手に入らないよ!」
友人にそう言われて、諦めていたキーマンでした。

でも、前回の上海出張でこうして再会できるとは思っていませんでした。

いつも工芸茶を仕入れている福健省の王さんが、「上海へ行くんなら、汪さんに会いなさい。上海で一番お茶に詳しいのは汪さんだよ!」となぜか命令されました。でも、王さんのおせっかい加減、かなりいい感じです!

そこで色々調べてみたら、汪(ワン)さんは紅茶の商売を専業にしている人で、お茶問屋にいるとの事でした。
「上海でお茶に一番詳しい」というので緑茶の名人かな?なんて思っていましたが、意外や意外、紅茶の名人だそうです!



奥から出してもらった祁門礼茶

「ホホ〜、私の事を、いやいやそんな事も無いよ〜」なんて言いつつ、裏には中国茶の蔵書が数々あるようです。
上海の問屋街にはお茶を生業にしている方が何百といますが、お茶について分からない事があったら、みな汪さんに訊きにくるっていう話なんです!

アマ「中国の紅茶って結構特徴があるけど、僕はデンフォンが今一番好きなんだ。あと宜興紅茶も気になるな!汪さんはどう?」
汪さん「中国紅茶の頂点は祁門紅茶だよ!キーマン紅茶はダントツだね!」
アマ「へぇ〜。汪さんのところにおいしいキーマン紅茶ありますか?」
汪さん「キーマン紅茶は10種以上あるけど、どれがいい?」
アマ「え〜〜と、汪さんが好きなの飲んでみたいな!」
汪さん「よし、一番いいやつを飲ませてやろう!」

すると汪さん、奥の箱からなにやらお茶を出してくれました。



この色の違い!手前が礼茶
その茶葉から、とにかく溢れんばかりに香りが出てきます!以前、東京の知人から飲ませてもらったキーマン礼茶を思い出しました。

アマ「礼茶・・・ですか?」
汪さん「そのとおり!よく分かったね!」
アマ「昔お茶マニアの友人に一回だけ飲ませてもらった事があるんですよ。でも、どうして普通の祁門と、こんなに香りが違うんですか?」
汪さん「茶摘みの時期が違うんだよ。普通のキーマンは一芯二葉で摘むけど、礼茶はまだ成長していない、弱々しくて若い新芽のみを使用しているんだ。
祁門県のある区域の山の中の一部に、礼茶雲霧(れいちゃうんむ)っていう霧が出るんだよ。この礼茶の香りっていうのは、その礼茶雲霧によるものだって言わているよ。
昔はこのお茶は毛沢東に献上されていたんだけど、その後わずかながら、市場にも出るようになったんだ!」
アマ「この礼茶、ちょっと売ってくれませんか?」
汪さん「ちょっとなら大丈夫だよ!」


・・・そのようなやりとりの末、5kgだけ分けて頂きました!




珍夜特急  〜彩香の買い付け日記〜
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