張茶師 | 「若い頃の話。福建省安渓の王賢という人物に鉄観音の作り方を教わり、1934年から木柵の地で鉄観音作りを始めた。 1969年、安渓出身の茶師に習い、団揉と焙火で熟した果実のような香りを生み出したんじゃ。 現在の木柵鉄観音を初めて作ったのはわしじゃよ。それからは木柵の他の茶農達にも作り方を伝授して回ったんだ」 |
木柵鉄観音の第一人者、張約旦茶師。台湾のお茶関連に従事する人々は皆張茶師に教えを請うといいます。
早速、張茶師オリジナルの「正宗木柵鉄観音(ミカンの花)」をいただきます。天野店長が「なにがなんでも仕入れて来て!」と言っていた幻のお茶。
年に1度だけ、ミカンの花が咲くお正月にだけ生産されます。しかも生産量はほんの少しだけ。
始めにふわっとミカンの花の香りがし、飲み干した後は鉄観音の余韻と甘味が残ります。かすかに黒檀のような香りも。
和田 | 「わー、こんなの初めて!どうやって作ったのですか」 |
張茶師 | 「半分まだ蕾のミカンの花を、ホンペイをしていない茶葉と一緒に放置し、香りを移すんだ。途中、何回も新しい花に取り替える。終わったら茶葉のみを焼いて乾燥させ、二日目また同じことの繰り返し。何日かこの工程を繰り返すんじゃ。製茶期間中は一睡もしない、気の遠くなるような作業じゃよ」 |
96歳の方が何日も眠らずに作ったお茶。口杯を持つ手が震えました。