東方美人のチャンピオン

(2004.5.台湾 スタッフ和田)



東方美人のチャンピオン【徐耀良茶師】と奥様。「東方美人は美味しいだけでなく、身体にとても良いのよ。私の母は毎日飲んでるから年をとっても目がいいの。」と奥様。

バスを乗り継ぎ、東方美人の産地、新竹県峨眉郷につきました。うぅ、すごく遠かったです・・・。

「下車したはいいけれど、いったいどっちに行けばいいんだろう...」

電話ボックスも見当たらず、人通りもなく、不安は募ります。同じバス停で下車したお祖父さんを追いかけて、
「徐耀良さんのお店はどちらですか?」
と聞くと、お祖父さんは
「あ〜、徐耀良さんね、知ってる知ってる」
と言って地図を書いてくれました。

う〜ん、台湾の方は本当に親切ですねぇ。

しかし地図を頼りに山中を歩くこと1時間...。
「 おかしいな、バス停からそんなにかからないって話だったけど...」

今だから言えますが、もし冬だったら遭難してたと思います。(汗)

ふと気付くと前方に茶畑が見えました。疲れたのでちょっと休憩。しゃがんで茶葉とにらめっこを始めます。。





忙しい製茶の合間を縫って徐茶師がお茶を淹れてくださいました。東方美人を淹れる場合、お湯の温度は85度がベストだそうです。初耳!
和田「わぁ、虫に食われた茶葉がいっぱい!これじゃ東方【美人】じゃなくて東方【ブス】だわ…」

畑に座り込んでブツブツ言っている私の背後から、

???「誰が東方ブスだって?」
和田「あ、徐茶師!」

なんと私は知らないうちに徐さんの畑に迷い込んでしまっていたのです!徐茶師は奥様から今日私が来ることを聞き、心配になって車で探しに来てくれたのでした。

徐茶師「ほら、そんなとこ座ってないで。
知ってる?ここ、蛇がいるんだ(笑) さ、早く帰って東方美人の製茶しなくっちゃ!」

心配かけてごめんなさい、そして本当にありがとう、徐茶師!


まだ最後の工程であるホンペイ(時間をかけて茶葉をあぶる作業)をしていない茶湯。黄色く薄い蜜色です。果物の甘い香りがしますが、喉元を過ぎて行く時、微妙な刺激が残ります。

こちらはホンペイを済ませた茶湯。やっぱりこの色が東方美人の色、はっきりとしたハチミツ色です。喉越しも滑らかになりました。とろりと甘〜い茶湯に、天にも舞い上がる気分です。

『青心大有』という苗木の種類の茶葉。ウンカに食われた部分があります。「台湾12号や他の苗木を使っても東方美人は作れるけど、フルーツの香りが出るのは青心大有だけ」と徐茶師。

「一芽二葉、ほら、ここを摘み取るんだよ」 徐茶師が摘み方を指導してくださいます。ウンカが噛んだ後、茶葉の成長は止まり、赤や黄色に変色します。ウンカ様がいますので農薬は一切使用しません。

今までなんと4回も「特等賞(グランプリ)」を獲得しています。グランプリを取った瞬間、価格は6倍〜10倍に跳ね上がります。盾の右下にあるのは県政府から与えられた品質の優劣を表すもの。徐茶師のお茶は「特優(特に優秀)」です。

新聞には同年度に「特等賞」と特等賞の一つ下の賞「特頭賞」、さらにその下の「優良賞」を全て独占していることが書かれています。徐茶師、台湾の新聞雑誌、テレビだけでなく、実は日本のNHKにも出演したことのあるスーパースターなんです。



珍夜特急  〜彩香の買い付け日記〜
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