「美人」はこうして生まれる(1)

(2004.5.台湾・峨眉 スタッフ和田)


東方美人の産地、新竹県峨眉郷につきました。あ〜、台北からかなり遠かったです。さて、どっちに行ったら良いのかしら?いくら歩いてもこの景色。今私はどの辺にいるんだろう?それすらもわかりません。急がないと約束の時間に遅刻してしまいます。わぁ、見てください!お茶畑が一面に広がっています。東方美人は無農で作られる為、茶樹の周りには雑草がちらほら見えます。

手前左の葉っぱに丸い穴が開いてますよね。ウンカが噛んだ後です。ウンカは水分が多く、柔らかい個所を噛みます。茎や新芽の部分が大好きなんです。針のような新芽と、その外側の2枚の葉っぱを「一芽ニ葉」と呼びます。新芽が大きいもの、長いものはダメ。新芽は小さければ小さい程良いんです。

2年前に立てたばかりの徐さんの工場!最新設備の整った、すごく大きな工場です。中へ入ると、東方美人コンテストで獲得した盾や賞状が所狭しと掲げられていました。

これから日光萎調(にっこういちょう)がはじまります。日光にあてて茶葉の水分を蒸発させます。全ての茶葉に光が届くよう、均等に撒きます。茶葉の乗った丸く平べったい籠を素早く並べて行きます。誰もしゃべっている人なんていません、真剣そのものです。日光萎調はこんなに場所を取るんですね。天井には黒いネットがあります。茶葉に均等に光が行き渡るよう、先に並べた左側の方からネットを巻き上げて太陽の光を入れます。日光萎調が終わると室内萎調を行います。

徐茶師の目がマジです。殺青(さっせい)が終わろうとしています。釜の中の温度200度近くまで達します。その釜の中に手を突っ込み、茶葉の状態を確認し、ころあいの所で茶葉を出します。

釜からアツアツの茶葉が出てきました。徐茶師、熱くないんでしょうか、心配です。手を釜の中に入れて茶葉を一気にかきだします。

釜から出た茶葉を今度は布袋に入れます。それを手早くぐるぐると回し、きつく縛りあげて行き、ボール状にします。
ビニール袋に入れて数分放置します。バケツに入れる方法もあります。カラカラのまま揉念すると茶葉が砕けてしまうので茶葉を湿らせます。これは唯一東方美人の製茶のみにみられる工程です。

ゴロ〜ンゴロ〜ン、揉念(じゅうねん)が始まりました。形を整えつつ、味と香りを引き出すためにこうして揉み込むのです。東方美人の一番重要な製茶工程はこの揉念だそうです。一旦機械を止めて取り出します。それを両手で右、左、右、左へ繰り返しパスします。素早い動作です!本当、目にも停まらぬ速さ、シャッターが押せません!


珍夜特急  〜彩香の買い付け日記〜
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