電脳茶師の作った東方美人茶

(2005.6.台湾・峨眉 電脳茶師)



徐茶師と電脳茶師の凸凹コンビ!
サッカーで言えば、いきなり中田に教わるようなもの!
05年6月1日、台湾の新竹県へ東方美人茶を作りに行ってきました!
教えてくれるのは何と、常勝茶師こと徐茶師!

この産地の品評会は4000点もの東方美人で競われるのですが、徐茶師は3年連続特等賞(グランプリ)をとってるスゴイ茶師です!!

この東方美人、ウンカ発生の関係で生産時期がかなり遅く、お茶作りが始まるのは例年6月10日前後なんです!

でも、僕の出張は6月1日なので、強引に「彩香の為に一緒に特別な東方美人作りましょうよ!いいじゃないですか、製茶前で暇でしょ?」なんて、軽〜い気持ちでお願いしちゃいました・・・。
 
そして当日!言葉が通じないので、行き違いばかりでお互いの思っていることがわからない通じない、すれ違い気味。。。今回の無理なお願いとスケジュールに、ちょっと(いやかなり)イライラ気味の徐茶師!

でも、お茶を作り始めた途端、空気が変わりました。何の会話もないけれど、大切な何かを交換できた気がします。



「じゃ〜後はよろしく〜♪新芽以外摘んじゃだめだよ」
と徐茶師!僕一人で摘むんかぃ!!(怒)
朝早くから徐茶師と茶畑へ出てきました〜。
「さぁ、一緒に茶摘み頑張ろうか!」という事かと思いきや、


「じゃ〜アマノッチ、とりあえず、茶摘み、10キロよろしくね!
新芽と葉2枚で1芯2葉で摘んでね。
もし大きすぎる葉なんか摘んだら、後で自分で選別するだけだから大変だよ♪
じゃ〜12時に帰ってくるから!」

と、徐茶師のかなりのデビルな発言!自慢のBMWで去っていきました・・・。
 


おおっ、右下にウンカ(害虫)発見!
この害虫が茶葉を噛み、東方美人は甘みを増します。

最初は、東方美人の茶葉に付着する害虫「ウンカ」を見つけたり、大自然の空気を楽しんでいる余裕もあったのですが、炎天下での半日がかりの茶摘みはすごく大変・・・。

お茶を作る事は本当に重労働だと痛感です〜。
これからはお茶は出がらしになるまで飲み続けることを心に誓いました。

 
(注)東方美人にはウンカという害虫が付きます。このウンカが葉を噛むと、ウンカの胆液が付着して東方美人が甘くなるとか、噛まれた茶葉は葉の成長が止まり、ゆっくりと甘みを蓄積させて育つといわれております。



摘んだ茶葉を床に敷き、均等に日光を当てます。
僕が独り(←強調)で摘んだ茶葉を徐茶師の製茶工場の広間で広げます。そして茶葉を日光にさらします。これは日光萎調(にっこういちょう)と言って、茶葉の発酵(酸化)を促します

徐茶師がかなりすがすがしい笑顔。(そりゃ、茶摘みしてないもんね)

この写真では解りづらいかもしれませんが、徐茶師の製茶工場は4年前に建てられたものですが、すごいでっかくて、最新のお茶作りの機械が揃っております!

お茶のグランプリで賞を獲得し、茶葉は高値でたくさん売れる!
徐茶師が世の中に貴重な付加価値を提供しているという事の現れです。



「そうじゃないんだ〜」徐茶師が茶葉を揉みこみます!
この揉み揉みの技術がすごいんです!

茶葉の揉み込み作業。
「そうじゃないんだよ〜」と徐茶師が厳しく、しかし丁寧に指導してくださいます。

「一番大切なのは、心!他の事を考えちゃいけないよ!
あなたの大切なお客様に飲んでもらうんだろ?もっとおいしいお茶を作るにはどうしたらいいのか?と考えて、もっとお茶よおいしくなれ、と祈るのさ!」

うーん、徐さんグレイト!


最後は茶葉を乾燥機に入れます!
低温でゆっくりと何度も確認しながら、完成させます!

乾燥機の前で、東方美人が出来上がるのを待ちます!低温でじっくりと熱していき、風味を高め、口当たりを良くし、茶葉を長持ちさせるようにします。

「温度は適切かどうか?」、「水分量は今どのくらいか?」、「香りはどうか?」を絶えずチェックします。 この工程で焼き過ぎてしまったら、全ては水の泡になります。

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夜も遅くなり、徐茶師が色々なことを話してくれます。

「東方美人は、夏場しか取れないだろう?
それに農薬ゼロだし、ウンカの影響をめちゃめちゃ受けるんだ。 だから、商売には向かないお茶だよ。現地でもドンドン農家をやめていく人が多い。

でも僕はこのお茶作りをずっと続けていくよ。新しい工場を作ったのもそんな意思の表れだよ」



早速作ってみたお茶をいれます。徐茶師曰く
「品評会二等レベルのお茶。俺が先生だから当たり前」

「東方美人は生まれたときから僕の生活の一部だった。僕の親族はみな東方美人の名人でさ。

僕は朝早く起きるのも嫌だし、徹夜でお茶を作るのも嫌だったんだよね。
でも、祖父の言葉で目が覚めたよ。

『お前がいなくなったら、東方美人はおしまいだよ』

祖父の言葉は忘れないよ。今年も品評会で賞をもらったけど、祖父は喜んでくれてるかな?

祖父が伝えたかった味わいを受け継いで、後世に残していきたい。
まぁ、それだけだよ。だから君にも東方美人作りの厳しさや楽しさを感じてほしかったんだよ」


怖〜い徐茶師がめちゃめちゃかっこよくて、男らしいと感じました。

出来立てのお茶を飲みながら、一緒に作ったお茶をほめてくれました。
茶師曰く、「これなら品評会二等レベルのお茶。俺が先生だから当たり前だけどね」
との事。ありがとうございました!

すっごくいい経験ができて、徐茶師のお茶に賭ける想いが聞けました。




珍夜特急  〜彩香の買い付け日記〜
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